本来なら年末年始、いやそれよりも前に書いておくべきだった記事だとは我ながら承知しているが、
それでもまだ今なら間に合うかもしれないと一縷の望みに縋る思いで書いていこうと思う。
きっかけは年末年始に勘違いしてFate/Grand Order(以下FGO)を始めてしまい、
第一部を駆け抜けた1人のプレイヤーの発言だった。
彼曰く、
「ストーリーの強敵たちとの邂逅に対するナマのリアクションをどんどん見せて欲しい」
という趣旨のものだった。
そこで私は「ちょっと待て」と。
blogのPV数も、Twitterのフォロワー数も私より遥かに多く影響力のあるお前がそんな事を言い出したらこっちは必死になって「やめろ」と言わざるを得ないではないか。と。
ただ、それだけならまだ良かった。だがその直後にやって来たのがコレだ。
TYPE-MOONが贈る、新たな「Fate」RPG。「Fate/Grand Order」公式サイト
news.fate-go.jp
同時にメインクエストのAP半減キャンペーンも行われている。
こんな事をされるとどうなるか?
第一部未クリアの者が攻略を急かされるばかりか、コラボ作品であるFate/EXTRAシリーズのファンがFGO新規プレイヤーとしてこのアプリをインストールしてしまうかもしれないではないか。
これ以上被害者を増やしてはならない。
少しでも多くの者を守るため、使命を胸に私は立ち上がるのであった・・・。
「筆者」というプレイヤーについて
この項は私がどのようなプレイヤーだったかという事を説明する。ただ、重要なのは「iOS版最古参かつ元休止組(微課金)」という事だけなので、興味が湧かなければ無視して次項まで飛んでいただいて構わない。
FGOにおいて私はいわゆる「iOS版配信当日組」というやつで、また同時に「休止組」でもあった。
配信時点で実装されていたストーリーの2章をクリアしないとネロが召喚(いわゆるガチャ)のラインナップに加わらない、という情報を得て令呪や時には聖晶石(課金あるいはストーリークエストクリアで配布されるいわゆる"石")も使って6日で駆け抜けた。
駆け抜けて無事にネロを獲得した。
幸いこの時はクエストクリア等で溜まっていた石だけで獲得出来たが、ご祝儀の意味も兼ねて確か8千円分ほど課金していくつかの手駒も手に入れていた。
iOS版初日スタート及び6日で2章クリアの証拠画像
その後も色々あった。
ギルの星4サーヴァント配布とか、お月見イベントとか、ハロウィンイベントとか、あまりにも退屈で先を読む気が失せる3章の実装とか。
確か、お月見前に実装されたランスロット欲しさに3万円支払ってランスロットではない星4サーヴァントを入手したり、手持ちの枠を増設しまくったのもこの頃だったと思う。
(後に枠は全プレイヤー最大状態で固定化され、増設で使用した石は全て返還された)
そしてハロウィンエリザベート(術)とその再臨素材だけ確保したところで私は一旦力尽きた。
当時は種火の供給が今以上に乏しく、Lv80など夢のまた夢だった事に起因する虚無感が恐らく原因だろう。
肝心のメインストーリーも先を読みたいとは思えなかったし。
結局2017年始まで「たまに起動してキャンペーンやログイン報酬だけ頂戴する」状態を継続し、福袋召喚を契機に重い腰を上げ、退屈で中断していた第3章から順に始末してゆき、林檎在庫をすり減らしつつも第一部を終わらせたのであった。
そして重大な使命を抱き、この記事を執筆することとなる・・・。
理由 1 プレイヤーがウザい
後述するが、FGOはシステムが不親切極まりなく、リリース直後に比べマシになったとはいえそれでも褒められた物ではない代物である。
では「奈須きのこ原案ストーリー」という人質を取られつつ、
そんな代物に付き合い続けたプレイヤーはどうなるか?
非常に悲しいことに彼らのうち少なくない人数が「ラフム」と化した。
ラフムとは、「マウント・イキリヲタク」であり「若年性老害」であり「ご理解させられた存在」の事だ。
彼らはblogやTwitterで "FGOのシステムを批判する者" を見つけると「その程度で音を上げるなんて」とか「もっと早くから始めないお前が悪い」とか「種火超級1周に3分は時間掛かり過ぎ」とか「高速周回するのに孔明なんて使ってるの?ww」とか言いながら襲い掛かってくる。
以下のblog記事についてTwitterを検索してみればその実例が垣間見えるはずだ。
『Fate/Grand Order』はRPGであり、ADVパートとバトルパートを交互に進めながら、ストーリークエストをクリアしていくゲームです。ガチャでキャラクターを入手し、そのキャラクターを育成することで「バトルパート」を攻略していくのがゲームとしてやることの全てとなります。そしてこの場合「敵に勝つため」「先を読むため」にプレイヤーはゲームを遊ぶこととなります。 ドラクエであればスライムを倒せば経験値が2入りますが、『Fate/Grand Order』(以下『FGO』)は敵を倒してもロクに経験値も手にはいりません。概ね手に入るのはレベルキャップ開放(ゲーム内用語では【再臨】と言います)ですと…
cr.hatenablog.com
「批判が許されるのであればその批判に対する批判もまた許されるべきであり、それが嫌ならば黙っていれば良い」と言われるかもしれないが、ちょっと待って欲しい。
新規プレイヤーたちは年末のアニメや年始の福袋召喚に釣られ、騙され、拐かされてFGOという世界に連れてこられてしまった挙句、そそり立つクソをお見舞いされてしまったのだ。
これで文句一つ言うなというのも酷な話ではなかろうか。
ともかく、FGOをプレイするということは、不満を外に発信しないよう我慢するか、ラフム達と真っ向から戦うか、二者択一の覚悟をまず迫られるという事なのだ。
余談だが、FGOにはプレイヤー間で明確に競うコンテンツが無い。
そのような対戦型コンテンツの不在がラフム達の活動を活発にさせている要因かもしれない。
という弁をTwitterで見かけて一理あるなと思った。
理由 2 育成がクソ
実はこの項、私の言いたい事はだいたい前項にて紹介した記事が代弁してくれている。詳細はそちらを読んで頂くとして、ここでは要点だけを書こう。
まず、ストーリークエストを進行するだけでは手駒となるサーヴァントのレベルは上がらない。
サーヴァントのレベルを上げるには「種火」という経験値がカード化したアイテムを捧げる必要がある。
そしてコレは基本的に「種火専用クエスト」を周回する事でしか得られない。
また周回であるのだから、一度軌道に乗りさえすれば以後の試行は
「決まった順番にボタンをタップする何度やっても代わり映えのない作業」
をただただ繰り返す永遠の苦行と化す。
ストーリーの続きが読みたいのに、それをクリアするための手駒を育てるために何の面白みもない苦行を強いられるのだ。
育成はそれだけではない。
サーヴァントのレベルや各種スキルにはレベルキャップが課せられており、
それを開放するために素材を要求される。
この素材の種類が非常に多く、またサーヴァントごとにてんでバラバラ。法則性なんて無いような物。
そしてこれらの素材は期間限定イベントの特殊ショップを除くと、
入手が完全にクエストドロップ頼みとなっている。
そう、全ての素材において、交換による入手が不可能なのだ。
大なり小なり時間を割いて代わり映えのないクエスト周回をこなさなければならない。
どんな富豪で無限に課金が可能であろうと、「クエストを周回する」過程は省略できない。
(「自分の代わりに作業をこなしてくれる奴隷」を雇える身分ともなれば例外かもしれないが。)
理由 3 運営が偏屈
FGO、今時のアプリコンテンツにしては珍しく、そう、非常に珍しく「オート機能」が一切存在しない。「演出の完全省略」も無い。あるのはキャラクターの表示動作を早送りする「高速」モードだけ。
この高速もリリース直後の初期状態から比べて1.5倍早くなっている程度とあまり大したものではない。
(「"等速"の速度を初期より遅くし、それを2倍とした"高速"を追加する」という変更が過去に行われた。)
さて、ここでお知らせしたいのだが、この運営
「技術的にオートや演出の完全省略は可能だが実装を見送った」のである。
『Fate/Grand Order』が電撃オンラインアワード2016のアプリ部門で第1位を獲得したことを記念してインタビューを実施。開発スタッフの考え方が理解できる全マスター必見の内容です。
dengekionline.com
"『FGO』は効率を追求して遊ぶゲームではないという明確なスタンスがあるので、実装は見送りました。"
だそうだ。何だそれは。ふざけているのか。
挙句にはこうだ。
"オートバトル……私は、あるとプレイがおざなりになっていつか心が離れてしまいそうなので、ないほうが楽しめると思います。それこそ、オートでは本当の絆が築けないでしょうし。"
これはインタビューアーの発言だが、対する開発の塩川氏は一切の否定をしなかった。はあ。では何か?
前項で挙げた無味乾燥な種火周回や素材周回もオートではなくプレイヤーの手で行うことによって絆が育まれる。と?
危機的状況など無く、致命的な操作ミスでも行わない限り失敗はしない、仮に失敗したとしても投じたAP(時間経過で回復する行動力)が失われるだけ。
そんなクエスト周回でもオートでなく人の手でプレイする限りは心が離れていかない、と?
ありえない。
現に私の心は種火や素材のためのクエスト周回に関して「虚無な時間」と評している。
オート機能など存在せず、自分の指で全ての操作を行っているにも関わらず、だ。
まぁいい。この件に関しても実は既に他所様が書かれた秀逸な記事が存在するので深く掘り下げたい方はそちらに目を通せばいいだろう。私からはこの程度にしておく。
今回は『Fate/Grand Order』(以下、FGO)というソーシャルゲームについて書きたいと思います。 私はリリース当初からこのゲームをインストールしており、途中ログインが途切れた時期もありましたが約一年半プレイし、現在まで続けて来た身です。 そんな私ですが、最近このゲーム史上最も呆れたことがありました。 それが、FGOのディレクターを務めていらっしゃる塩川氏のインタビュー記事です。 https://twitter.com/dengekionline/status/846628901317066753 どうやらこの記事に関して私以外にも疑問を抱いた人はいるようで、ネット上ではプチ炎上して…
bereboubishoujyo.hatenablog.com
理由 4 スマートフォンアプリの終焉
皆様はスマートフォンアプリ、いわゆるソシャゲの終焉に立ち会った事がお有りだろうか?私は何度もある。
彼らは何の前触れもなくサービスが終了し、それまで投じたリソースは有料・無料を問わず全て無に帰す。
サービスが終了した彼らが具体的にどうなるのかご存知だろうか。
私がプレイヤーとして触れてきたいくつかのコンテンツはどれも例外なく「無」となった。
アプリを起動すると表示されるのは
「当『アプリ名』は○年△月□日をもってサービスを終了致しました。」
という冷酷な通達。
そしてその後に続く謝辞の言葉。感謝と詫びのメッセージ。以上。
これが現実だ。
それまで何らかのリソースを支払いアンロックしてきたコンテンツたちがどれだけあろうと、サーバーとの通信が終われば認証も何も無い。
たとえアプリのローカルデータとしてそれらが保存されていたとしても、
それらを正規の手段で閲覧させてはくれない。
ただ保存領域を圧迫するだけのゴミデータになるのだ。
FGOだって例外ではない。
重課金者たちにそっぽを向かれるか、あるいはそうでなくとも奈須きのこがネタ切れを起こせば即サービス終了となる可能性だってあるのだ。
そして終了してしまった時に手元には何も残らない。
サーヴァントたちのプロフィールやボイスくらいデータが残っているのだから再生させてくれても良いじゃないかと言ってもそれは叶わない可能性の方が高い。
何故なら運営はサービスが終了した時の措置についてまだ何も言及していないのだから。
それでもあなたは苦に塗れたFGOの世界へ誘われたいですか?
理由 5 Archives
この項は短く、そしてシンプルに済ませよう。FGOは現在累計800万ダウンロードを越え、また先日のTwitterでのRTキャンペーンも目標として設定されていた3万という数字をものの数分で達成していた。
それくらいプレイヤー数が多いのである。
コレだけ多いと「音声付き映像」としてデータを残している者も居るだろう。
スマートフォンの画面を録画する方法など今の世の中いくらでもある。
現に私もiPhoneの画面映像をローカルPCに保存する手段を持っている。
FGOをプレイしていて、尚且つそのような設備を持つ人達と友人になれば・・・?
あとは書かなくとも分かるだろう。
そういう事だ。
理由 6 Fate というプロダクト
これが最後の理由で、ただ一つ煌めくポジティブなメッセージだ。2004年、TYPE-MOONより発売されたWindows用アダルトノベルゲーム「Fate/stay night」から始まった「Fate」というシリーズは現在、ゲーム、アニメ、ノベル、コミックと多岐にわたる展開を見せている。
もはやブランドといっても差し支えないだろう。
このFateブランドでFGOもアプリだけでなく、既にアニメーションとして存在している。
2016年末に放送された序章だ。
そう、序章だけ。とはいえ、CMではなく1本のアニメになったという実績は築かれた。
あとは先輩方を待つだけではないか?
2017年7月 | TVアニメ | Fate/Apocrypha |
2017年10月 | 劇場アニメ | Fate/stay night [Heaven's Feel] |
2017年冬 | TVアニメ | Fate/EXTRA Last Encore |
上記3本のアニメ化が終わったら次はどのTYPE-MOON作品がアニメになるのか?
それは定かではないが、FGOに順番が回ってくるのもそう遠くないだろう。
少なくとも月姫リメイクプロジェクトが完了するよりは早いだろう。
悲しいが。悲しいがきっとFGOの方が優先されるのだ。
そういうわけで、何もせずともアニメ化がほぼ約束されたようなコンテンツであるところのFGOを、わざわざ苦しい思いをしてまで触れる必要なんて無い。というのが私の主張だ。
追記:2017年5月23日に行われたSony IR Day 2017 エンタテインメント事業(映画・音楽)において、FGOの新作アニメーション事業が検討中である事が明かされた。
リンク:Sony IR Day 2017 エンタテインメント事業(映画・音楽)ネット中継アーカイブ
FGOに関する言及は4枚目のスライドから
最後に / 筆者の願い
以上、6項目にわたって「FGOなんてやらなくても良い理由」を述べて来たワケだが、最後にifの話をしよう。もし、もしも、もしもFGOアプリにおいて、正規の手段で戦闘パートを経ずにストーリークエストを読む事が可能になったら・・・・。
その時は是非あなたの手で、あなたのペースで、あなたの気の向くままにFGOのストーリーを堪能して欲しいと思う。
逆に言うと、そのような奇跡でも起きない限り、FGOなんてインストールせず、アニメ化やノベル化等のメディアミックスを待ちながら、この世に数多あふれる他のコンテンツを享受するために貴方の時間を使って欲しい。
私はそう心から願っているし、心の底からそう思っているからこそ、このような記事を執筆して必至に説得を試みたのだ。
以上。
私の悪あがきに最後まで付き合って頂き、誠にありがとうございました。
この想いがどうか一人でも多くの人に届きますように。