不規則なリズム: エロゲとメモリとUSB

Nitroplusが今夏リリース予定の新作ADVゲーム(18禁)「君と彼女と彼女の恋。」
メディア形式がDVDではなくUSBメモリになるということで一時期話題になった。
2chのニュース系スレやいわゆるまとめブログのコメントなどで憶測やら何やらが飛び交っていたのが印象的で記憶にも新しい。

で、実はエロゲではないものの、同種のADVゲームとしてCIRCUSがUSBメモリ版D.C.III【Amazonリンク】を既に発売していたという事は意外と知られてない模様。
当方、今年の1月にこれを購入しているので、夏に向けての予習として解説記事でも書いておこうと思う。

まずパッケージから

ご覧のとおり外からUSBメモリが見える。
内容物はUSBメモリ、説明書類、ネックストラップ、USBメモリ用シール

USBメモリの容量は8GBで、うち約4GBがゲームのデータ。
また、ディスク版と同様に実費を払えばUSBメモリ単体を買うことも可能となっている。
価格は4000円。定額小為替で払わなければならないため手間はかかるが、ゲームデータは消去可能なのでオリジナルグッズとしてUSBメモリを販売していると捉えることもできる。

プレイ方法は「USBメモリから直接プログラムを実行する」「ローカルドライブにインストールしてそこから起動する」の2通り。
前者の場合、設定情報含むセーブデータはすべてUSBメモリ内に保存され、後者であれば近年の作品同様、Users以下の「Saved Games」フォルダに格納される。
どちらの場合においても初回起動時は同封のシリアルコードによる認証が必要である。
ローカルにインストールした場合ネットワーク経由でシリアルを認証すれば、以後USBメモリを取り外した状態でも起動が可能となる。
旧来のエロゲでいうディスクレス化と同じだ。

またシリアルコードの認証回数に制限は設けられていないようで、デスクトップマシンとノートそれぞれにインストールし、両方でネットワーク認証を行ったがどちらも同時に起動することができた。
基本的にデスクトップマシンで起動し、帰省時などはノートでというスタイルを取る身としては有難い仕様である。
USBメモリから直接起動すれば良いではないかと思われるかもしれないが、それでは常にスロットを1つ犠牲にしなければならないのでモバイルノートには結構な痛手となるのだ。
それに今作は後述の理由により他の作品よりもノートで起動する機会が多いため、割と重要なポイントとなる。

ここまでが「USBメモリをメディアとして選択したゲームの特徴」である。
以下はD.C.IIIに関する感想等なので興味のある方だけ引き続きどうぞ。

シナリオ
これはまだシャルルとサラのルートしかクリアしていないため今後の評価は変わってくるかもしれないことを念頭に置いておく。
過去D.C.、D.C.II、D.C.II S.C.とやってきた身として今作は今のところ買って良かったと思える内容になっている。今までの主人公ら二人のルーツについて紐解かれていくカタルシスがとても良い。
USBメモリ版は公式サイトで無料配信されている追加パッチをDVD版に当てた場合と同じ内容となっている。
そのためシナリオ面でのアドバンテージは無い。

雰囲気（音楽やグラフィック、テキストの醸す総合的な要素）
非常によろしい。この一言に尽きる。
過去二作を経てきた人ならばこの要素だけで十分元が取れるだろう。

システム

初代D.C.における日常シーンを含む細やかな回想、D.C.IIで取り入れた斜め立ち絵・後ろ立ち絵と過去二作はシステム面も光っていた。
が、今作はハッキリ言って進歩が見られない。時代の流れに追いつけていない。

・ウィンドウモードでは解像度が1024x768に固定されており変更不可能
・16:9以外の解像度のディスプレイで全画面表示をするとアスペクト比が狂ってしまう
　（アスペクト比保持オプションを使用しても表示は異常なままだった）
・起動の度に尋ねられるウィンドウモードとフルスクリーンモードの選択
・次のテキストやバックログを表示すると音声の再生が止まってしまう

1920x1125ネイティブで動作する作品が既に登場しており、そこまで行かなくとも1280x720や内部解像度が800x600でも解像度を指定して拡大によりウィンドウサイズを大きく変更できる作品などがある中、1024x768のままウィンドウサイズを変更できない今作は時代に遅れているというのが正直な感想だ。
この仕様のおかげでデスクトップのディスプレイよりもドットピッチの粗いノートで動かした方が視認性が良いためノートで起動する頻度が増えてしまった。

テキスト進行で音声を止めるかどうかもユーザーが設定で選べるのが今やスタンダードとなっている。地の文をサクサク読みながら音声を聴くというスタイルができないというのはなかなかにストレスだ。
PCで動作するADVゲームにおいてシステムというのはやはりシナリオや雰囲気などの要素と並んで重要になってくる。シリーズの集大成的ポジションの今作でこれは厳しい評価を下さざるをえない。

総評
システムがD.C.II時代から進歩していないのを除けばシリーズファンにとって申し分の無い作品に仕上がっている。
もし今後ファンディスクの類を出すのであればその辺りを何とかして頂きたい。
あとアフレコモードは完全にスベってたんで別にオミットしてもらっていいです。
今年の5月末に新規シナリオと新規CGを追加した D.C.III R 〜ダ・カーポIII アール〜（& X-rated）がリリース予定なので、興味はあるがまだ買っていないという方は購入を検討してみてはどうだろうか。
今ならば過去二作をプレイして予習しておくだけの猶予はあるだろう。

~~あとX-ratedのキャストさっさと発表しろ。サンプルボイスもな。特にシャルル。~~
発表された。
シャルルは想定内の想定外（桜ちとせでない）で、リッカと葵がそれぞれ逆の方向での想定外という結果に。